紙は種類によって滲み方が違うので意図とした作品作りには紙の種類や産地にこだわること。国産の画仙紙は産地ごとに滲む度合いが違うので試してみてから制作に進むこと。参考に中国安徽省の宣紙はきめが柔らかいので良いということですが、残念ながら使用していません。作品にこだわれば紙にも筆にも墨にもそして硯にもこだわるようになります。
紙と墨に戯れることが必要 墨戯(ぼくぎ)というのはまず紙と墨の対話です。作品にどう滲みを生かそうか考えることから始めてみましょう。いい紙といい墨に出合えたならいい滲みがきっとでき水墨画のとりこになります。そして著名な作家の運筆の状態も想像できるようになればいいと考えています。
紙の種類も沢山あり薄い単宣紙から何枚も重ねたもの。麻紙や鳥の子紙、料紙など用途や種類が多いので目的に合わせて画材店に気軽に聞いてみましょう。実際に作品を描いている店員さんがいればベストです。あまり多くいませんのでどなたかそのようなお店を教えて下さい。インターネットという便利なものを使用しましょう。
制作のヒント コラムです参考まで紹介しました。
絵を作成するのに三病(さんぺい)といって3種類の弊害があるといわれています。中国宋代の画人郭若虚の著書『図画見聞誌』にあります。いわゆる板・刻・結です。
板…筆の運び方(運筆)が平坦で抑揚がないこと 板則腕弱筆痴 躍動感がないと描くべきものと捨てるものの選択ができないので絵にしたとき鑑賞者に訴えるものが平らになってしまうことをいいます。立体感がないなどと言えますが、ちょっと難しいですが現代におきかえれば、なんとなくインパクトがないなとか、ぐっとくるものがないな、うまいのだけれど中身がないななどと言われるものではないかと思います。板にならないよう注意しましょう。
刻…趣がないこと、途中で筆が鈍って刻んで描いたようになること。刻則運筆中疑 心手相戻 これは思うままに筆が動かず部分ではできていも全体にまとまらない、調和のない刻んだ状態をいいます。基本的にはうまい下手をさすのではなく描く時の精神状態に迷いや疑いがあるときに起き易いものと思います。ですから水墨画は心平らかな時に描くもので、特に心の迷いがあると描けないというのはここからきたのではないでしょうか
結…のびやかさがないこと これも刻と似た精神状態で気持ちがあせってのびやかな筆つかいができないこと。結則欲行不行 当散不散 似物滞礙 不能流暢 と書かれています。現代でいえば描こう描こうと思っても気ばかりあせってあたかも前に障害があって進めず、流暢にいかないということでしょうか。これも絵というのは自分を投影するバロメータですので、絵描きが長生きなのは本当によくわかります。『長生きしたかったら絵を描きなさい』といえます。NHK広島放送局で企画している『百歳万歳』という番組がありますが、絵を描いている人が多いのにはほんとに驚きでもあります。今中高年に流行っている大人の塗り絵もまさにこれです。