水墨画ノート墨戯その1

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Suibokuga Note Bokugi
 
 水墨画ノート墨戯として水墨画のやさしい描き方、技法の挑戦などをつれずれに書き留めました。身近にあるようでないような水墨画の世界が少しでも近くにあればとそんな思いで作ったページです。


薄墨を画仙紙に落とした場合の滲みの効果の例

水墨画の基本となる紙と墨の表現方法を実験しました。紙は画仙紙という和紙です。中国産のものは宣紙といいます。特に中国産の宣紙はなかなか上質のものは手に入らないと言われています。国産では1950年以降になって画仙紙という名で水墨画用の紙が出回るようになりました。各地に手漉きの和紙工房があります。また新しい紙ではなく、嗄れた古いものが滲みが豊かなため珍重されます。紙によってにじみ度合いが様々なので色々試して見ることが必要です。左は滲みの状態を確認するために墨をたらしたものです。放射状に滲んで、広がっていくのがわかります。続いてやや ちょっと濃い墨を落としました。 上段3番目は中心に牛乳をたらし、乾かないうちにさらに上から薄墨をたらしました。中心がはじいているのがわかります。中段左は最初に水をたらし薄墨をひいたあとさらに右側に薄墨をたらしました。 つまり一番最初にのった墨がすべて優先することがわかると思います。 葉の描法は二つ筆を置くと真ん中の葉脈が浮き出るしくみです。真ん中を白く抜く場合は最初に水で描いて乾かないうちに次の墨をのせるということが簡単にできることがわかります。

ラベンダーピンクリボンの写真
群馬県の子持村の道の駅で見つけた園芸種のラベンダーです。ラベンダー畑は北海道の富良野地方で有名な香料を取る為の花ですがこの種類はガクの部分がおおきなムラサキ色で花のさかりには一面のすばらしい風景があると思います。参考写真と比較して水彩画と水墨画の紙の質感を比較してもらうために今回の墨戯の題材に選んびました。

実験で作りましたピンクリボンを水彩紙で描いたものです
水彩紙で描いた場合のラベンダーピンクリボンです。一面に咲いている状況を想像するだけでわくわくします。でも実際に描いてみると、滲みはなく見た目無機質な感じがします。紙による資質の違いはこのように比較すれば一目瞭然です。

ピンクリボン彩色画
これは和紙に薄墨で描いた彩色したピンクリボンです。色は顔彩で塗ったものです。滲みの効果は得られても実際に彩色して見ると意図と違った色合いになり、難しいものでした。好みによりますが、墨の方が色彩が豊だと思います。同じ画仙紙で描きましたのであまり違いが解りませんが日本画で古くから使用されている鳥の子紙や料紙を使うと滲みません。また洋紙も同じように滲みません。この滲みの美しさに魅せられています。

水墨で表現したピンクリボン
画仙紙に描いたラベンダーピンクリボンです。薄墨で描くことにより、むしろ色彩を想像させる。抽象画の領域に近いものかもしれません。また滲みやかすれを利用して色々のオブジェができるのも水墨画ならではの楽しみが増えます。

ここでわかったこと

紙は種類によって滲み方が違うので意図とした作品作りには紙の種類や産地にこだわること。国産の画仙紙は産地ごとに滲む度合いが違うので試してみてから制作に進むこと。参考に中国安徽省の宣紙はきめが柔らかいので良いということですが、残念ながら使用していません。作品にこだわれば紙にも筆にも墨にもそして硯にもこだわるようになります。

紙と墨に戯れることが必要 墨戯(ぼくぎ)というのはまず紙と墨の対話です。作品にどう滲みを生かそうか考えることから始めてみましょう。いい紙といい墨に出合えたならいい滲みがきっとでき水墨画のとりこになります。そして著名な作家の運筆の状態も想像できるようになればいいと考えています。

紙の種類も沢山あり薄い単宣紙から何枚も重ねたもの。麻紙や鳥の子紙、料紙など用途や種類が多いので目的に合わせて画材店に気軽に聞いてみましょう。実際に作品を描いている店員さんがいればベストです。あまり多くいませんのでどなたかそのようなお店を教えて下さい。インターネットという便利なものを使用しましょう。

制作のヒント コラムです参考まで紹介しました。

絵を作成するのに三病(さんぺい)といって3種類の弊害があるといわれています。中国宋代の画人郭若虚の著書『図画見聞誌』にあります。いわゆる板・刻・結です。

板…筆の運び方(運筆)が平坦で抑揚がないこと 板則腕弱筆痴 躍動感がないと描くべきものと捨てるものの選択ができないので絵にしたとき鑑賞者に訴えるものが平らになってしまうことをいいます。立体感がないなどと言えますが、ちょっと難しいですが現代におきかえれば、なんとなくインパクトがないなとか、ぐっとくるものがないな、うまいのだけれど中身がないななどと言われるものではないかと思います。板にならないよう注意しましょう。

刻…趣がないこと、途中で筆が鈍って刻んで描いたようになること。刻則運筆中疑 心手相戻 これは思うままに筆が動かず部分ではできていも全体にまとまらない、調和のない刻んだ状態をいいます。基本的にはうまい下手をさすのではなく描く時の精神状態に迷いや疑いがあるときに起き易いものと思います。ですから水墨画は心平らかな時に描くもので、特に心の迷いがあると描けないというのはここからきたのではないでしょうか

結…のびやかさがないこと これも刻と似た精神状態で気持ちがあせってのびやかな筆つかいができないこと。結則欲行不行 当散不散 似物滞礙 不能流暢 と書かれています。現代でいえば描こう描こうと思っても気ばかりあせってあたかも前に障害があって進めず、流暢にいかないということでしょうか。これも絵というのは自分を投影するバロメータですので、絵描きが長生きなのは本当によくわかります。『長生きしたかったら絵を描きなさい』といえます。NHK広島放送局で企画している『百歳万歳』という番組がありますが、絵を描いている人が多いのにはほんとに驚きでもあります。今中高年に流行っている大人の塗り絵もまさにこれです。

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